長寿命住宅は必ず一度は大震災に遭うということを覚悟しておかなければなりません。建築基準法における耐震基準は、数百年に一度発生する地震(東京では震度6強から震度7程度)の地震力に対して倒壊、崩壊せず、十数年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の地震力に対して損傷しない程度と解説されていますが、言い換えれば、大地震時には損傷する可能性があるという基準です。
長寿命住宅を考える時、私達のつくる家は、倒壊さえしなければいいというわけにはいきません。品格法ではこの基準法レベルを等級1とし、その1.25倍を等級2、さらに1.5倍を等級3として耐震等級を設定していますが、長寿命住宅はこの等級に照らせば2〜3の耐震等級に匹敵する耐震性を備えていなければならないと考えています。。
建築基準法では二階建て以下の木造住宅では、壁量計算、偏芯率の計算、N値計算といった簡易計算でその強度をチェックすれば良いことになっており、確認申請の時にその計算書を提出する義務も免除されています。
しかし、より高い耐震性をもたせるには構造計算(許容応力度計算)により建物全体の強度を確認する必要があります。
一般的には市販の構造計算ソフトを使って構造のチェックが行われ、その結果に基づいて必要な箇所に金物による補強が行われていますが、私達の作る耐震住宅は、極力こうした金物の使用も少なくしたいと考えています。
金物が用いられるのは、木と木の接合部が「引き抜き」に弱いからですが、それは今の木造在来軸組工法における接合部分が加工しやすいように簡略化されてしまっているからです。この接合部のことを仕口「しぐち」と言いますが、この仕口は日本の木造技術の高さを最も良く表している部分であり、伝統的に様々な工夫がされています。私達は、長寿命住宅を考えるとき、その耐用年数に疑問のある金物で保たせる構造ではなく、できるだけこうした伝統的な木造の技術を活かした構造にしたいと考えています。そのために、私達はどんな小さな木造住宅であっても、木の構造を熟知した構造家をメンバーに加え、一棟一棟きちんと構造設計を行うことにしています。
また最近では、どこでも住宅を建てる前にきちんと地盤調査を行うようになってきましたが、それでも「不同沈下」によって基礎や壁にヒビが入ったり、極端な例では家が傾いた、という事例が数多く報告され、問題となっています。これは、現在一般に行われている地盤調査の方法では地耐力(支持力)だけをみて、地盤の強さが判断されているからです。支持力と沈下はまったく異なる現象で、支持力は建物の荷重を支える地盤の強さを示すものですが、沈下は住宅規模の荷重にはほとんど関係なく起こる現象なのです。地盤についての問題の多くは、この不同沈下問題であり、これをきちんと判定できなければなりません。
私達は木造住宅において軽視されがちな地盤の重要性を最も重視し、地盤調査会社にスウェーデン式サウンディング方式による調査に加え、地盤の性状を調べるための調査を追加で行わせています。そうすることによって、より正確な地盤の判定ができると考えているのです。 |