日本の森林面積は国土の66%を占め、世界でも有数の森林国でありながら、日本は世界最大の木材輸入国であり、世界中の国々から木材を輸入しているのはなぜでしょうか?
日本の森林は第二次世界大戦の混乱の中で一時荒廃しましたが、昭和30年代中頃には、伐採跡地への植林が一応終了し、炭や薪の需要増加に伴って民有林においても昭和45年頃まで毎年30万ヘクタール前後の規模で造林が進んで行きました。
高度経済成長期に入ると、木材需要がパルプや建築用材の目的で急激に増加しましたが、この時、国内の林業は利用可能な人工林が少なかったことや個々の林業家が保有する森林面積が小さい上に分散しており、効率的な経営が難しく、この木材需要の拡大に十分対応することができませんでした。そのため、この時期を通じて丸太輸入の自由化が段階的に実施されることになったのです。
それ以降、国産材は価格の安い輸入材に太刀打ちできなくなり、日本の林業経営は悪化し、森林の荒廃、農山村の過疎化などをもたらすことになりました。昭和30年には86.7%だった木材自給率が半世紀経った平成16年には、わずか18.4%にまで減少してしまったのです。

上のグラフに示されているように、現在国内の木材総需要量は年間約9,000万立方メートルです。それに対し、国内の森林の年間生長量は、人工林を中心に約8,000万立方メートルに達しており、ほとんど自給できる状態になっているのです。それなのに、国産の木材はその20%も使われていないのです。
ツーバイフォー工法などによる家づくりもハウスメーカーを中心に確実に伸びて来ていますが、木造軸組工法では、近年集成材の使用が急速に伸びて来ています。
集成材は、乾燥に手間のかからない薄い板を何枚も化学接着剤で張り合わせて作る材で、無垢材のように強度にバラつきがないということで、これもハウスメーカーを中心にそのシェアが拡大しているのです。国産の間伐材などを集成材に有効利用しようという動きも一部ではありますが、集成材のほとんどはそれ自体強度が強いわけではない輸入材によって作られているのです。

人工林は下草刈り、除伐、間伐、枝打ちなど、人による手入れが必要なのですが、このように国産材の需要が低迷しているために、間伐が行われず、成長していない細い樹木が密なまま放置された状態になっています。木材を輸入するということは、その輸入先の森林を破壊していると同時に、日本の森林の機能低下をも招いているのです。
ほんの少し昔を振り返ってみて下さい。「地元の木で家を建てる」ということは、日本人がその長い歴史の中で培ってきたことです。その土地に育った木を使って家を建てるということは、最もその土地の気候に適した木で家を建てる、ということであり、極めて理にかなったことでした。そして、森を守るということは、川を守ることであり、海を守ることでした。自然の生態系はそうした循環の中で成り立っているものであり、人間もそうした生態系の中の一部だったはずです。
日本の家づくりの大きな間違いは、まず「地元の木で家を建てる」という基本を忘れてしまったところにあるのです。 |