木造住宅は鉄筋コンクリート住宅等の建物と比較しても、重量がはるかに軽いために、その重要性が軽視されてきたのが“地盤”であり、このグラフからもわかるように、現在住宅の地盤事故は「外壁・内壁の亀裂」「建物の傾斜」を合計すると、第一位の雨漏り事故を抜いて、最も多い住宅問題としてあげられています。

地盤調査では、スウェーデン式サウンディング試験(以下、SWS)の結果から、その地盤の支持力を求め、住宅の基礎形式の選択に反映することが一般的に行われるようになり、裏付けとなる地盤の許容応力度や基礎の構造方法などについての法令も整備されてきました。その成果として、地盤のトラブルは大きく減少していていいはずなのですが、現実にはそうなっていないのです。
住宅地盤の診断は、「狭小な敷地で実施しなければならない」、そして「費用がかけられない」といった、限られた条件の中で行わなければなりません。そこで、数ある地盤調査方法の中でSWSは簡便、かつ低コストで地盤支持力の評価ができるということで、現在、戸建住宅の地盤調査の主流となっていますが、実はこのSWSにも大きな欠点があるのです。
それは、SWSでは地盤の支持力は判定できても、不同沈下は判定できないということです。地盤トラブルの多くは地盤の支持力不足ではなく、不同沈下に原因があり、支持力と不同沈下はまったく異なる現象なのです。
重要なのは沈下を検討し、不同沈下を起こさない対策を講じることですが、そのためにはSWS試験だけでなく1)資料調査 2)現地踏査 3)試験調査などを適切に実施する必要があるのです。
しかし、ここでさらに問題なのは、そうして資料を揃えても、それを正しく読み取ることができる地盤の専門家が極めて少ないということです。
SWS試験は、ちょっと訓練をすれば誰にでもできる比較的単純な作業なので、安価で地質調査を請け負う会社では、そこで得られたデータだけを元に地盤調査報告書を作成し、トラブルを起こしている場合が多く、また逆に地盤調査だけを専門に行う業者は少なく、多くは自社で地盤改良工事も行うので、改良の必要のない土地でも地盤改良が必要だという調査結果を引き出し、建て主に過大な負担を強いているケースも珍しくありません。
地盤の専門家は、「地盤調査の仕事に携わっている1,000人に1人くらいしか、SWS試験から正しく地盤を判定できる人はいないだろう。」と語っています。これでは、地盤のトラブルがなくなるはずがありません。建物自体の品質を確保できても、足下をすくわれては元も子もないのです。 |