木の家を設計している建築士が木のことについて十分に理解していないように、“結露”についてもあきれるほど無頓着です。
かつて、私達の家は木、藁、紙、土といったその土地から産する自然の材料でできていました。温暖で湿潤な気候は豊かな森を育て、日本の木造建築は世界でも類例を見ない技術と伝統を持っていました。それなのに、現在の私達がこれまでにない“不健康な家”に暮らしているのはなぜでしょうか?
不健康の最大の原因の一つは、住宅の“気密化”にあります。
木は湿気によって腐れを起こす材料ですから、日本の木造技術とは湿気をためない工夫をこらしてきた技術であるとも言えるのです。使われる自然素材もそこに共通しているのはみな、湿気を通す材料であるということです。ところがビニールクロス、合板、その他石油化学から生み出された新建材の多くは、湿気をほとんど通さないか、とても通し難い材料なのです。そうした建材でおおわれてしまった家は、当然気密性が高まり湿気の逃げ場がなくなってしまいます。そうした湿気が冷たい空気に触れて結露を起こし、結露は木材を腐らせ、カビやダニを発生させ、私達の健康を蝕むことになってしまったのです。
それでは、この“住宅の気密化”が問題であると言われていながら首都圏でも“高気密・高断熱”住宅が普及してきているのはなぜでしょうか?
ここに多くの人達の誤解があるのです。それは、“高気密化した住宅”と“高気密住宅”を混同してしまっていることです。
これらは同じものではなく、まったく正反対のものであるということです。これは、一般の方々ばかりでなく首都圏で住宅を設計している専門の設計士の多くが理解していないことでもあるのです。
高気密・高断熱住宅における“高気密”の意味は、壁の中で結露を起こすことを防止する、ということで“防湿”という意味を持っています。それに対して、“高気密化した家”は、そんな配慮もなく湿気の逃げ場をなくし、結露を助長してしまった今日の日本の家のことなのです。
首都圏の多くの住宅メーカーが次々と高気密・高断熱商品を出してくるのは、今日の住宅のそうした問題を一気に解決したい、という思いがあるからとも言えるでしょう。
そんな中、建築設計事務所は相変わらず“高気密・高断熱”は、「北国の仕様であり、温暖地の気候には合わない。昔のような風が抜ける家がいいのだ。」と言って、実はとても昔の家とは呼べない結露だらけの家を作ってしまっているのです。
それでも、省エネ・断熱への要請は高まって来ていますから、建築設計事務所もそうした要請に応えなくてはなりません。見よう見まねで高気密・高断熱をやっていますが、細かな所まで、また詳しいことはわかっていませんから、現場を的確に指導することもできず、かえって結露を助長してしまうような危険な住宅を作っているケースも少なくないのです。
省エネの要請がなければ、必ずしも高気密・高断熱にこだわる必要はありません。最低限、結露を起こさない仕様を心がけた設計ができればいいのです。しかし、現実には高気密・高断熱技術が浸透している寒冷地を除けば、結露のない正しい断熱の方法がわかっている設計者はほとんどいない、といっても過言ではありません。
そして、極めつけは・・・。 |